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手仕事が生み出す紺九の藍色 - 藍染屋 紺九
時に圧倒的ですらある紺九の「藍色」。約130年前から続くこの老舗藍染屋では、その色を出す手法は昔ながらのやり方を貫いている。一つ一つの手仕事が、国宝級の建築物にも用いられる藍染の色を現代に伝える。

明治3年の創業以来、紺屋(藍染屋)として様々な素材を鮮やかに染め続ける「紺九」。現在は4代目の森義男氏にその伝統が受け継がれ、欧米諸国からも「ジャパンブルー」と称され親しまれる藍色を生み出している。

 昭和34年に義男氏の父である3代目の卯一氏、そして平成元年には義男氏本人も携わったのが「桂離宮」の茶室「松琴亭」の修復事業。親子2代にわたって歴史的建築物の襖・壁紙の市松藍染紙を染める仕事を手がけたことになるわけだが、そうしたいわば国宝級の藍色はいかにして作られるのか。

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 紺九が染め上げる藍色には、その風合いや色の濃さごとに6つの種類がある。この色の濃さは、染料をためた甕の種類と、そこをくぐらせる回数によって決まってくるのだが、それぞれの色には趣深い名前がついている。色の薄い順に、甕覗(かめのぞき)、薄葱(うすあさぎ)、葱、濃葱、縹(はなだ)、紺。回数はそれぞれ3、5、7、10、13、15回となる。

「気候や湿度によって、その染め上がりが大きく変わってきます。湿度が高いのは染めるには決して良くない環境ですし、染めた後の乾きもよくありません」

 森氏によれば、甕を見ればその日の染料の状態が分かるという。染料の機嫌は甕の表面に浮いている「華」といわれる泡の浮き方、まとまり方で判断できるそうだ。

「華がこんもりと、元気よく咲いていると染め上がりも上々です。発酵させている染料はいわば生き物。季節や温度、天候によって、その状態を見極めながら染めるのが大切なんです。そのために、商品の納期をずらしてもらうこともよくあるんですよ」

 継ぎ足しはせず、3ヶ月ごとに入れ替える藍甕に、生地となる絹糸を5分ほどつけ込み、あげてから絞る。染料が空気酸化することによって、生地の色がにごった茶色から藍色に発色する光景は息を呑むほどの鮮やかさである。

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 紺九の敷地奥にある、歴史を感じさせる古い建物。初代の森九蔵氏が建てたこの藍室では、藍染の原料となる「(すくも)」作りが行われる。

「7月から9月にかけて刈り取った藍葉を、まずは茎の部分を取り除いて乾燥させます。その後、籾殻を60cm、その上に筵(むしろ)を2重に敷き水はけを良くした藍室で発酵させます。筵をかぶせて地下水をかけながら3ヶ月間発酵させるのですが、自然に温度が上がってくるので水をかけながら65℃に保ちます。の出来が色の良し悪しを大きく左右するので、気の抜けない作業になりますね」

 こうして発酵させた藍葉を1ヶ月ほど乾燥させれば、が完成。一つの甕に桶3杯分、12kgのを使い、長い時間と手間を要する手仕事によって染めを行う技法が、代々受け継がれた藍染を現代に運んでいる。落ち着きの中にも華やかさがある、抜けるようなあの藍色は、明治の時代から受け継がれた職人の技があってこそ実現可能なのである。

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【作家】 藍染 紺九

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