明治3年の創業以来、紺屋(藍染屋)として様々な素材を鮮やかに染め続ける「紺九」。現在は4代目の森義男氏にその伝統が受け継がれ、欧米諸国からも「ジャパンブルー」と称され親しまれる藍色を生み出している。
昭和34年に義男氏の父である3代目の卯一氏、そして平成元年には義男氏本人も携わったのが「桂離宮」の茶室「松琴亭」の修復事業。親子2代にわたって歴史的建築物の襖・壁紙の市松藍染紙を染める仕事を手がけたことになるわけだが、そうしたいわば国宝級の藍色はいかにして作られるのか。
紺九が染め上げる藍色には、その風合いや色の濃さごとに6つの種類がある。この色の濃さは、染料をためた甕の種類と、そこをくぐらせる回数によって決まってくるのだが、それぞれの色には趣深い名前がついている。色の薄い順に、甕覗(かめのぞき)、薄葱(うすあさぎ)、葱、濃葱、縹(はなだ)、紺。回数はそれぞれ3、5、7、10、13、15回となる。
「気候や湿度によって、その染め上がりが大きく変わってきます。湿度が高いのは染めるには決して良くない環境ですし、染めた後の乾きもよくありません」
森氏によれば、甕を見ればその日の染料の状態が分かるという。染料の機嫌は甕の表面に浮いている「華」といわれる泡の浮き方、まとまり方で判断できるそうだ。
「華がこんもりと、元気よく咲いていると染め上がりも上々です。発酵させている染料はいわば生き物。季節や温度、天候によって、その状態を見極めながら染めるのが大切なんです。そのために、商品の納期をずらしてもらうこともよくあるんですよ」
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